雪国新潟と日本酒
2020.02.12 Wed.
雪国で知られる新潟も、この冬はまれにみる暖冬で、雪を見ないうちに春を迎えるのではと思っていたら、立春になってやっと新潟らしい雪景色がみられるようになってきました。暖冬は暮らすにはありがたくはありますが、ここまで小雪だと、地元の人にとっても新潟を訪れる人にとっても、なにか物足りなさを感じるかもしれません。
また、雪は日本酒の保存にも一役買っているところがあります。
「雪室(ゆきむろ)」または「雪蔵(ゆきぐら)」というのをご存じでしょうか。
「雪室」とは、雪を利用した天然の冷蔵庫のことですが、その歴史は江戸時代にまで遡ります。当時日本海側から関東まで鮮度のよい魚を運ぶため、雪を詰めた箱に魚を入れて運んだのが雪室の始まりとされています。現代では蔵などの建物の中に大量の雪を貯蔵する方法に変化し、室内は一年を通して低温(約5℃)・高湿度(湿度約90%)状態に維持されるそうです。電気冷蔵庫に比べ、温度の揺らぎが少ないため貯蔵する食品の細胞が傷みにくく、おいしさもしっかり維持できるという機能があり、野菜、肉、米などはより甘みが増し、お酒はよりまろやかな味になります。
新潟県の中でも特に豪雪地帯といわれる中越魚沼・南魚沼地域には、この「雪室」を日本酒の貯蔵に活用している酒造会社がいくつかあります。雪室見学を受け付けているところもありますので、「雪室」を体感されるもよし、雪室で低温熟成された日本酒のまろやかさに舌鼓を打つのもよし。雪国新潟ならではの日本酒をぜひ堪能してみてください。
玉川酒造 http://www.yukikura.com/
350年の歴史を持つ同社は、天然の雪を特殊なシートで覆い、年間を通して大吟醸「越後ゆきくら」を低温貯蔵しています。貯蔵庫内は、温度が2~3度に保たれており、年中雪の中を体感できるそうです。
緑川酒造 http://www.niigata-sake.or.jp/interview/k47.html
(新潟県酒造組合公式サイトのインタビュー記事)
米と水へのこだわりはもちろん、清潔さの行き届いた酒蔵で造る日本酒を、ホームページを作らずネット販売も行わず、信頼のおける特売店にのみ販売を託すというこだわりの同社は、7月頃まで雪中貯蔵した日本酒も出荷しているそうです。
八海醸造 https://www.hakkaisan.co.jp/
1,000トンの雪を収容する雪中貯蔵庫で、長期間、日本酒を熟成させています。空きスペースでは野菜等も貯蔵。館内には、さらに焼酎貯蔵庫やカフェ、売店などがあり、雪国の暮らしと食文化に触れることができるそうです。